知らないうちに加害者に?職場のスメルハラスメント事情

In ブログ by actrate_sample

スメルハラスメント(スメハラ)は個人の匂いが原因で周囲に不快感を与える行為のことであり職場での人間関係や業務効率に悪影響を及ぼすハラスメントの一種です。

近年、社会全体で匂いへの意識が高まり、スメルハラスメントが顕在化してきました。

特に、リモートワークからオフィス回帰が進む中で、個人の匂いがより身近な問題として浮上しています。

このブログでは、スメルハラスメントの背景にある現状から、具体的な対策、そして誰もが気持ちよく働ける職場環境を築くための企業と個人の役割について、詳しく解説していきます。

深刻化するスメルハラスメントの現状
匂いに敏感な社会の到来

近年、社会全体が匂いに敏感になっています。
背景には、清潔志向の高まりや、SNSなどでの情報共有による「匂いの可視化」があります。

また、コロナ禍を経てリモートワークが普及し、人と直接会う機会が減ったことで、再開された対面でのコミュニケーションにおいて、匂いがより強く意識されるようになりました。

かつては「お互い様」と見過ごされていた体臭や口臭、柔軟剤や香水の匂い、タバコの残り香などが、ハラスメントとして問題視されるようになったのです。

匂いの感じ方には個人差が大きく、「これくらいは大丈夫だろう」という認識が、意図せずしてハラスメントにつながることがあります。

スメハラがもたらす職場への悪影響

スメルハラスメントは、単なる個人の不快感に留まりません。
職場に以下のような深刻な悪影響をもたらします。

  • 生産性の低下: 匂いが気になって業務に集中できず、作業効率が低下したり、ミスが増えたりします。
  • 人間関係の悪化: 匂いが原因で当事者が孤立し、陰口やいじめに
    発展することがあります。
    また、コミュニケーションが阻害され、チームワークが崩れる原因にもなります。
  • 健康被害: 匂いによって吐き気や頭痛といった体調不良を引き起こす従業員もいます。
    ひどい場合は、ストレスから精神的な疾患につながる可能性も否定できません。
  • 離職リスク: 匂いの問題が解決されないまま続くと、従業員が職場に居づらさを感じ、退職を選択するケースも出てきています。

スメハラを構成する主な匂いの種類

スメルハラスメントの原因となる匂いには、様々な種類があります。
これらの匂いは、意図的に発しているわけではなく
無自覚である場合がほとんどです。

1. 身体から発せられる匂い
最も多くの人が意識する匂いでしょう。

  • 体臭: 汗、加齢臭、疲労臭など。特に夏場や運動後、また年齢を重ねるにつれて発生しやすくなります。
  • 口臭: 歯周病や胃腸の不調、喫煙など、様々な要因で発生します。
  • 足の匂い: 長時間靴を履いていることや、靴下の素材などが原因となります。

2. 身だしなみや嗜好品による匂い
本人は良い匂いと思っていても、周囲にとっては不快に感じることがあります。
香水、柔軟剤、制汗剤: 匂いが強すぎると、匂い過敏症の人にとって体調不良の原因になります。

  • タバコ: 本人や衣服についた残り香は、非喫煙者には非常に不快に感じられます。分煙が進んだ現代では、特に問題視されやすい匂いです。
  • 整髪料: 匂いの強いワックスやスプレーなども、人によっては不快感を覚えます。

3. 食事による匂い
ランチや間食で食べたものが、口や体から匂いとなって残ることがあります。
ニンニク、ニラ: 誰もが知る匂いの強い食べ物です。
アルコール: 前日の飲酒が、翌朝まで匂いとして残ることがあります。

スメハラの防止と対策:企業と個人の役割

スメルハラスメントは、非常にデリケートな問題であり、当事者への配慮を欠かずに慎重に対応する必要があります。
企業と個人の両方が協力して、働きやすい環境を築くことが不可欠です。

企業の役割:組織全体での意識改革と環境整備

企業は、スメハラを個人の問題として放置せず、組織的な対策を講じる責任があります。

1. 方針の明確化と周知徹底
就業規則や社内マニュアルに、スメハラ防止に関する項目を明記し、全従業員に周知することが第一歩です。

具体的には、「香りの強い柔軟剤や香水の使用を控える」「清潔な身だしなみを心がける」といった内容を盛り込みます。
朝礼や社内報、Eメールなどを活用し、定期的に注意喚起を行うことも有効です。

2. 相談窓口の設置と対応体制の構築
被害者が気軽に相談できる窓口を設置することが重要です。
相談窓口は、社内の担当部署(人事、総務など)だけでなく、外部の専門家(産業医、社労士など)にも協力を仰ぐことで、より中立的で専門的な対応が可能になります。

相談対応のポイント

  • プライバシーの保護: 相談内容が外部に漏れないよう、厳重に管理します。
  • 迅速な事実確認: 相談があった場合は、速やかに事実関係を確認します。
  • 当事者への配慮: 指摘する際は、本人の尊厳を傷つけないよう、プライベートな空間で、穏やかな口調で伝えます。
  • 具体的な改善策の提示: 抽象的な注意ではなく、「制汗剤を使ってみてはどうか」「喫煙後にリフレッシュスプレーを使うと良い」など、具体的な対策を提案します。

3. 職場環境の物理的な改善
匂いの問題を軽減するための物理的な対策も有効です。

  • 空気清浄機の設置: オフィス全体の空気をきれいに保ちます。
  • 換気の徹底: 定期的な換気は、特定の匂いがこもるのを防ぎます。
  • 消臭剤や制汗スプレーの設置: 自由に使える場所に消臭剤や制汗スプレーを設置し従業員が自ら対策できるようにします。

4. 研修の実施
全従業員を対象に、ハラスメント研修の一環としてスメハラに関する内容を組み込むことで、意識を高めることができます。

研修内容の例

  • スメハラとは何か、どのような匂いが問題になるのか
  • 自分がスメハラの加害者になる可能性
  • 被害者になった場合の相談方法
  • 匂いに関するエチケット

個人の役割:セルフケアと周囲への配慮

企業がどんなに環境を整えても、最終的には一人ひとりの意識が重要になります。

1. 日常的なセルフケア
自分の匂いを客観的に把握し、日頃からケアを怠らないことが大切です。

  • 清潔な身だしなみ: 毎日入浴し、清潔な衣服を着用します。制汗剤や汗拭きシートを活用して、こまめに汗を拭き取ることも効果的です。
  • 食事への意識: ニンニクなどの匂いの強い食べ物を摂取する際は翌日の予定を考慮するなど配慮します。
  • 口内ケア: 歯磨きだけでなく、マウスウォッシュや舌ブラシも使用し、口臭を予防します。
  • 香料への配慮: 香水や柔軟剤、整髪料は、使用量を控えめにし、TPOをわきまえることが重要です。「無香料」や「微香性」の製品を選ぶのも一つの手です。

2. 自分の匂いを客観視する
自分の匂いは慣れてしまって気づきにくいものです。以下の方法で、自分の匂いを客観的にチェックしてみましょう。

  • セルフチェック: 自分の着ていた服の匂いを嗅ぐ、使用済みのマスクの匂いを嗅ぐなど。
  • 家族や親しい友人からのフィードバック: 信頼できる人に、自分の匂いについて率直な意見を聞いてみるのも有効です。

3. 周囲への配慮とコミュニケーション

周囲の匂いに気づいた場合は、直接指摘するのではなくまず会社の相談窓口に相談することが最も安全な方法です。

しかし、もしあなたが直接注意を促す立場(上司など)にある場合は、以下の点に注意しましょう。

  • 一対一で話す: 他の人がいない場所で話します。
  • 「みんなで」という視点で伝える: 「みんなで気持ちよく働くために」といった、個人を特定しない言い回しを心掛けます。
  • マナーとして伝える: 「社会人としてのマナー」や「お客様に不快感を与えないため」といった、業務上の観点から伝えるのも有効です。


まとめ:気持ちの良い職場は、みんなで作るもの

スメルハラスメントは、個人の問題でありながら、組織全体で取り組むべき課題です。

企業が環境を整備し、個人がセルフケアと周囲への配慮を実践することで、誰もが快適に働ける職場環境が実現します。

匂いに対する感じ方は人それぞれです。大切なのは、相手の立場に立って考える**「想像力」と、一人ひとりが気遣い合う「共生」**の精神です。

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