あなたもしていない?リモハラを防ぐ3つの工夫

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こんにちは。
さくら人材コンサルティング株式会社の伊藤明美です。

コロナ禍をきっかけに、多くの企業で
リモートワークが一気に普及しました。

「働く場所や時間を自由に選べる」
「通勤時間が減って効率が上がる」

といった声が多く、
今や“働き方の新しいスタンダード”として定着しています。

一方で、オンライン特有のトラブルやストレスが
増えていることも事実です。

そのひとつが「リモートハラスメント」、通称「リモハラ」です。

オフィスにいなくても、画面の向こう側での“言葉”や“態度”が
部下や同僚を傷つけてしまうケースが、全国的に急増しています。

2023年度に厚生労働省が行った調査では、
「リモート環境での人間関係のトラブルを感じたことがある」
と答えた人が全体の43%にのぼりました。

にもかかわらず、「それがハラスメントに当たるか分からない」
と感じている人も多いのです。

◆リモハラとは?定義と背景

「リモートハラスメント(リモハラ)」とは、
オンライン上での不適切な言動・圧力・管理行為などによって、
相手に精神的苦痛を与える行為を指します。

厚労省の定義にはまだ明確な「リモハラ」という言葉はありませんが、
その多くはパワーハラスメントやモラルハラスメントに
分類されるケースが多いです。

たとえば、以下のような行為があります。

  • 勤務時間外にもチャットやメールで頻繁に連絡する
  • 「在宅なんだから休んでいるようなものだろ」といった発言をする
  • 常時カメラオンを強要する
  • 監視ツールでPC操作やログを逐一チェックする
  • オンライン会議で部下の発言を遮り、長時間説教する
  • 「在宅なんだから残業しても大丈夫でしょ」と暗に圧をかける
  • 背景や部屋の様子に関してプライベートなコメントをする

◆なぜリモハラが起きるのか?心理的メカニズム

リモート環境でハラスメントが発生しやすい理由は、
単に「顔が見えないから」ではありません。

心理学的な背景を探ると、いくつかの要因が見えてきます。

◆非言語情報の欠如による誤解

対面コミュニケーションでは、言葉以外にも表情、
声のトーン、姿勢、相づちなどの「非言語情報」が豊富にあります。

心理学者アルバート・メラビアンの「メラビアンの法則」では、
人の印象に与える影響のうち、

言葉はわずか7%、声のトーンが38%、見た目や態度が55%

を占めるとされています。

つまり、オンラインで顔が見えない、
あるいは画面越しの情報が限られている場合、
相手の意図が誤解されやすくなるのです。

たとえば「返信が遅い=やる気がないのでは?」
と決めつけてしまうこと。

実際は「別の業務で手が離せなかった」だけかもしれません。

◆コミュニケーション量・質の低下

出社時のように、廊下や給湯室での
「ちょっとした雑談」が減少しました。

こうした“スモールトーク”がチームの潤滑油だったのに、
オンラインでは目的のある会話だけに偏りがちです。

その結果、相互理解が浅くなり、
相手の背景や事情への想像力が低下します。

人は「よく知らない相手」に対してほど、
攻撃的・支配的な言動を取りやすくなる傾向があります。
これは社会心理学でも知られた現象です。

◆「見えない不安」が支配する管理職心理

管理職側の「不安」も見逃せません。
オフィスにいれば“働いている姿”を見て安心できましたが、
リモートではそれが見えません。

そのために起きるのが、過度な干渉や監視行動です。

「きちんと働いているか確かめないと」
「数字で見える化しないと」

という心理が、知らず知らずのうちにリモハラ行動を誘発します。

◆リモハラがもたらすリスク

リモハラは“ただの不快感”で済む問題ではありません。
企業としてのリスクは非常に大きいのです。

◆メンタル不調・離職の増加

オンラインハラスメントを受けた社員のうち、
3人に1人が「転職を考えたことがある」
という調査(2024年/ピースマインド社)もあります。

職場に居場所を感じられなくなると、
エンゲージメントは一気に低下します。

◆労務トラブル・訴訟リスク

リモート環境でもハラスメント防止措置は企業の義務です。

2020年施行の「パワーハラスメント防止法(改正労働施策総合推進法)」では、
職場の定義に「在宅勤務等の就業場所」が含まれることが明記されています。

つまり、リモートでの指導・発言も
ハラスメントの対象になり得るのです。

オンライン上でのやり取りは記録が残る分、
証拠として提出されやすい点も特徴です。

◆チームの信頼関係の崩壊

一度「上司が怖い」「監視されている」と感じると、
社員は防衛的になり、本音の意見を言わなくなります。

心理的安全性が失われた組織では、
イノベーションも改善提案も生まれません。

Googleの研究「プロジェクト・アリストテレス」でも、
高業績チームの最大の特徴は“心理的安全性”であると示されています。

リモハラはその安全性を真っ先に壊す行為なのです。

◆リモハラを防ぐ3つの工夫

ここからは、実際に企業で取り入れやすい防止の
3つのポイントをご紹介します。

1. 相手の環境や事情を思いやる柔軟な姿勢を

在宅勤務では、家庭や育児、介護など、
オフィス勤務では見えなかった生活背景が存在します。

「子どもが横を通るのが気になる」
「背景が散らかっているからカメラを切りたい」
――そんな事情もあるでしょう。

それを「社会人として失格」「集中力がない」
と決めつけるのは危険です。

“見えない事情に思いを馳せる”ことが、
リモハラ防止の第一歩です。

たとえば、「カメラは必要に応じてオンで構いません」
「家庭の事情も踏まえてスケジュールを調整します」
といったメッセージを日頃から発信することで、安心感が生まれます。

2. 文字のコミュニケーションこそ丁寧に

チャットやメールでは、表情も声もありません。
同じ言葉でも、冷たく・命令的に伝わるリスクがあります。

例えば「資料出して」ではなく、
「お手数ですが、〇〇の資料を共有いただけますか?助かります!」と書く。

たったこれだけの違いで、印象は大きく変わります。
「お疲れ様です」「ありがとうございます」といった言葉も忘れずに。

オンラインでは「温度感を足す」意識が大切です。
心理学で言う“ポジティブ比率”(ポジティブ3:ネガティブ1)
を意識すると、良好な関係が維持しやすくなります。

3. オンラインマナー研修やチェックリストの導入

リモートワークが一般化した今、
「新しい働き方にふさわしいマナー教育」は欠かせません。

たとえば、社内で以下のような項目をチェックしてみましょう。

・チャットの返信が遅い相手を責めていないか
・カメラオフを許容できているか
・勤務時間外の連絡を控えているか
・冗談のつもりの発言が、プライバシーを侵していないか

こうしたリストをチーム全体で共有することで、
「気づかぬうちに加害者になっていた」を防ぐことができます。

また、年1回のオンラインマナー研修も効果的です。

無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)や
心理的安全性の理解を含めることで、
単なるルールではなく“文化”として定着していきます。

◆リーダー・管理職が意識すべき3つのポイント

  1. 成果より信頼を先に築く
    リモートでは「結果を見てから信頼する」では遅い。
    まず信頼を与えることで、相手の主体性が高まります。
  2. “見えない努力”を認める
    「ありがとう」「気づいてくれて助かる」など、
    見えないところでの働きを言葉にして伝える習慣を持つ。
  3. チーム内で“雑談の時間”を意図的に作る
    朝礼や週1回のフリートークなど、
    心理的距離を縮める時間がリモハラ防止にもつながります。

◆ケース紹介:リモハラが招いたすれ違い

ある企業では、上司が「在宅勤務中も部下の動きを把握したい」
との思いから、チャットでこまめに「今何してる?」「昼休憩いつ取る?」
と聞いていました。

本人はマネジメントのつもりでしたが、
部下は「常に監視されている気分」「信頼されていない」
と感じ、ストレスを抱える結果に。

その後、産業医の面談でメンタル不調が発覚し、
結果的に上司側が「リモハラ指導」を受けることになりました。

このケースから分かるのは、意図よりも
相手の受け取り方が重要ということです。

オンラインでは特に、「相手がどう感じるか」
を意識する必要があります。

◆心理学で見るリモハラ防止のコツ

心理学的に言えば、リモハラを防ぐには
次の3つの心理的要素が大切です。

  1. 共感(エンパシー)
    相手の立場に立ち、背景を想像する力。
    「自分だったらどう感じるか?」を一度立ち止まって考える。
  2. 自己認識(セルフアウェアネス)
    自分の言動が他者にどう影響しているかを客観視する力。
    これはアドラー心理学でも“課題の分離”として重要な要素です。
  3. 信頼構築(トラストビルディング)
    「見ていないと不安」から「任せても大丈夫」へ。
    管理ではなく伴走する姿勢が、長期的にチームを強くします。

◆企業としての取り組み例

近年では、リモハラ防止に積極的な企業も増えています。

オンラインハラスメント防止ポリシーを制定したり、
相談窓口をチャットベースで匿名化したり、

定期的な1on1面談で部下のストレスを早期把握する仕組みを
整える企業もあります。

また、管理職向けハラスメント教育を
年次で実施する企業も増えています。

こうした仕組みを整えることで、
「言われた本人が声を上げやすい環境」をつくることができます。

◆まとめ:リモート時代の“新しいマナー”を育てよう

リモートワークは、上司・部下ともに
“信頼”が試される働き方です。

顔が見えないからこそ、「思いやり」と「言葉の温度」が
一層重要になります。

リモハラを防ぐことは、単にトラブルを避けるためではありません。
それは人を大切にする企業文化を育てることでもあります。

もし今、「自分の言動、大丈夫かな?」と思ったら、
今日からでも小さな一歩を踏み出してみましょう。

-メッセージの最後に一言「ありがとう」を足す。
-夜遅くの連絡を控える。
-相手の事情に耳を傾ける。

たったそれだけで、画面越しの職場がぐっと温かく、
信頼に満ちた場所に変わります。

リモハラは「無意識の一言・行動」から生まれます。
原因は“見えない不安”と“非言語の欠如”。

思いやり・丁寧な言葉・学びの場の3つで防止できます。
リモートでも、オフィスでも、「人を大切にする」姿勢は変わりません。

新しい働き方に合わせたマナーを育て、
より良い職場づくりを一緒に進めていきましょう。

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