職場に潜む新たな課題「ペットハラスメント」とは?
~在宅勤務・ペット同伴勤務時代の企業対応~

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近い年、テレワークやペットフレンドリーなオフィスの増加に伴い、
「ペットハラスメント(ペットハラ)」という新たな問題が注目され始めています。

これまでのハラスメントは「人と人」の間で起きるものと考えられてきましたが、
ライフスタイルの変化により「ペットを介した摩擦」も
職場課題の一つとなりつつあります。

本記事では、ペットハラスメントの具体的な事例や心理的影響、
企業が取るべき対応について掘り下げていきます。

 

【ペットハラスメントとは何か】
ペットハラスメントとは、ペットの存在や飼育に
関連して生じるハラスメント行為を指します。

典型的には以下のようなケースがあります:

  • 在宅勤務時にペットの鳴き声や行動を過度に指摘される
  • ペットを飼っていない社員が差別的に扱われる
  • ペット同伴可能なオフィスで、動物アレルギーや恐怖心を持つ
    社員への配慮が欠ける
  • ペットを過度に優遇することで生じる不公平感

こうした摩擦は、従来の「スメルハラスメント」や
「リモートハラスメント」と同様、働く人々の心身の健康や
職場の公平性に大きな影響を与えます。

 

【背景と社会的要因】
コロナ禍以降、在宅勤務が一般化し、ペットを飼う人が急増しました。
ペットフード協会の調査によれば、犬猫の飼育頭数は
2020年以降増加傾向にあり、特に若い世代でのペット需要が高まっています。

また、海外では「ペット同伴勤務(Dog-friendly office)」が広がり、
日本企業でも同様の取り組みを検討する動きが見られます。

こうした変化は一見ポジティブですが、配慮不足による摩擦を
引き起こしやすい環境を生んでいるのです。

 

【事例紹介】
在宅勤務での事例
オンライン会議中に犬が吠えるたびに上司から
「集中できない」と叱責され、社員が強いストレスを感じて
うつ状態に陥ったケース。

② オフィスでの事例
ペット同伴可のオフィスで、猫アレルギーを持つ社員が
症状を訴えたが「自己管理の問題」とされ、休職に追い込まれたケース。

③ 社会的摩擦の事例
ペットを飼っていない社員に対し「動物好きじゃないのは
人間味がない」と発言され、職場で孤立したケース。

これらはすべて、職場環境やマネジメント次第で防げる問題です。

 

【心理学の視点】
心理学的に見ると、ペットハラスメントは「価値観の違い」に根ざしています。

アドラー心理学では、人間関係の摩擦は「共同体感覚の欠如」から生じるとされます。

ペットを愛する価値観と、動物に抵抗を持つ価値観の間に
相互理解がなければ、職場の分断が進むのです。

また、アンガーマネジメントの観点では「相手の行動は
自分がコントロールできない」という前提を理解することが重要です。

例えば「犬が吠えるのは仕方ない」と受け止めるだけで、
イライラや攻撃的な態度を回避できます。

 

【法的観点】
現状、日本の法律で「ペットハラスメント」という明確な定義はありません。

しかし、労働契約法や労働安全衛生法に基づき、
職場の安全配慮義務は企業に課されています。

アレルギーや精神的ストレスを放置すれば、
安全配慮義務違反とみなされる可能性があります。

また、育児・介護休業法のように、将来的には
「ペットケア休暇」など新しい制度が導入される可能性も議論されています。

 

【企業がとるべき対応】

  1. ペット同伴勤務や在宅勤務に関するガイドライン整備
  2. 動物アレルギーや恐怖心を持つ社員への配慮(座席配置、リモート参加等)
  3. トラブル時の相談窓口設置
  4. ペット飼育に関する意識調査の実施
  5. マネジメント層への研修(心理的安全性の確保)

こうした対応は、単なるリスク回避だけでなく、
ダイバーシティ経営の一環としても大きな意味を持ちます。

 

【まとめと提言】
ペットは多くの人にとって心の支えであり、職場においても
幸福感を高める要素となり得ます。

しかし、その一方で配慮を欠いた対応は「ペットハラスメント」として
深刻な問題を生み出します。

企業は「ペットを肯定する視点」と「ペットに抵抗を持つ視点」の
両方を尊重し、ルールづくりと心理的安全性の確保に努めることが重要です。

管理職や経営者は「社員の多様な価値観を調整する
ファシリテーター」である意識を持ち、
従業員一人ひとりが安心して働ける環境を整備していく必要があります。

 

【終わりに】
ペットハラスメントは、時代の変化とともに顕在化してきた新しい課題です。

しかし、正しく理解し、制度や文化に組み込むことで、
むしろ職場をより多様で豊かなものへと成長させるチャンスでもあります。

今後、企業がどのように対応していくかが問われています。

 

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