新入社員“同士”で起きるハラスメント
「上下関係がないのに起きる問題」の本質と
企業が取るべき10の対策

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新入社員“同士”で起きるハラスメント
「上下関係がないのに起きる問題」の本質と
企業が取るべき10の対策

ここ数年、企業研修の現場で急増している、
極めて重要なテーマがあります。

それが、「新入社員“同士”で起きるハラスメント」です。

長らく、ハラスメントといえば、上司から部下へ、
先輩から後輩へという縦方向の権力勾配に基づく問題が中心でした。

しかし、現代の職場構造と価値観の多様化は、
この構造を根本から変えつつあります。

今は、同僚間、同期同士、若手同士という“横の関係”、
つまり、権力勾配が存在しない、あるいは曖昧な関係性の中で
起きるトラブルが、確実に、そして深刻化しながら増えています。

この傾向は、特にデジタルネイティブである
Z世代新入社員が増えるにつれ、より顕著になってきました。

職場の価値観の多様化、リアルとオンラインが混ざる
コミュニケーション環境、SNSによる絶え間ない比較文化、
そして「個人の境界線(ボーダー)を大切にする世代」
の特徴が、従来とは全く異なるハラスメントリスクを
生み出しています。

本ブログでは、最新の傾向や具体的な事例、
心理学の観点、そして企業が喫緊に取り組むべき環境整備まで、
実践的に解説していきます。

  • なぜ今、「新入社員同士のハラスメント」が急増しているのか

「同期」は、本来、会社生活の困難を共に乗り越える
「仲間」であるはずです。

しかし、この密接で曖昧な関係性こそが、
現代特有のハラスメントを生み出す温床となっています。

  • Z世代の価値観と「心理的安全性」の解釈のズレ

Z世代(主に1990年代半ばから2000年代初頭生まれ)は、
その生育環境から、従来の世代とは異なる労働価値観と
コミュニケーションスタイルを持っています。

  • プライベートの尊重と境界線の厳守:
    彼らは「自分の領域に踏み込まないでほしい」
    という意識が非常に強く、業務外の干渉やプライベートに
    関する冗談も、明確な「侵害」と捉える傾向があります。
  • 心理的安全性の要求:
    建設的な意見交換ができる環境を強く望む一方で、
    「攻撃された」「否定された」と感じるラインが極めて繊細です。
    少し強めの指摘や、フランクな意見交換であっても、
    その言い方や文脈によっては、瞬時に「敵対行為」
    と認識されるリスクがあります。
  • 明確で丁寧なコミュニケーション:
    曖昧な指示や非言語的な「空気を読む」ことを苦手とし、
    全てを言語化し、マニュアル化された
    コミュニケーションを好みます。

これが崩れると、意図の読み取りミスや
誤解が生じやすくなります。

結果として、同期同士の、率直であるべきはずの
やり取りであっても、ほんの一言が「攻撃」として
ハラスメント認定されかねない、
極めて繊細な対人環境が生まれています。

  • SNS文化と「デジタル・ハラスメント」の日常化

SNSは、同期の関係性を深めるツールであると同時に、
摩擦を生む最大の要因です。

  • 既読・未読問題と反応速度のプレッシャー:
    LINEや社内チャットにおける既読スルーや
    反応速度の遅さが、同期間で「無視された」「軽視された」
    という感情的な摩擦につながるケースが頻発します。
    これは、デジタル上での暗黙のプレッシャーとして機能します。
  • 「見える排除」を生むSNS投稿:研修後や
    仕事終わりに同期の一部が撮った写真や、
    飲み会の様子をSNSに投稿することで、
    誘われなかったメンバーに対して“見えない仲間外れ”、
    “間接的な排他行為”を生みます。

送り手に悪意がないとしても、排除されたと感じた側の
劣等感や孤立感は深く、これが人事に相談されるケースが
急増しています。

  • 匿名・非対面による攻撃性の増大:
    非対面コミュニケーションの比率が増えると、
    相手の反応が見えないため、
    無意識に攻撃的な言葉を使いやすくなります。

これは、社会心理学でいう「匿名性の効果」が、
同期という近しい関係性にも適用されてしまうからです。

  • 対面機会の減少と「関係性の希薄化」

コロナ禍を経て、リモート研修やハイブリッド勤務が
一般化しました。

これにより、オフィスでの雑談、すれ違い、ランチや休憩時間における
自然な関係構築の機会が大幅に減りました。

  • 誤解の温床:
    同期同士の関係性が浅い状態では、お互いの人間性に
    対する理解が不十分です。

この状態では、たった一つの言動や文字情報だけで、
相手の全体像を判断してしまいがちです。

  • 心理学:関係性の希薄化による「属性判断の強化」:
    心理学では、情報が少ないほど、人は「たった1つの行動で
    人の全体像を判断してしまう」傾向が強まるとされています。

例えば、真面目な研修生が一度だけ質問に答えられなかっただけで、
「あの人は使えない」と同期が判断してしまうなど、
極端な属性判断が衝突を誘発します。

  • 非言語コミュニケーションの欠如:
    テキストや画面越しでは、声のトーン、表情、ジェスチャー
    といった非言語コミュニケーションがほとんど伝わりません。

これにより、「冗談のつもり」や「励ましのつもり」が、
そのまま「攻撃」として受け取られ、
感情的な溝が深まりやすくなります。

1-4. 学生時代とは異なる「競争の世界観」への突入

入社直後、新入社員は研修や配属において、初めて
「評価され、順位付けされる」環境に置かれます。

  • アドラー心理学:
    競争の世界観:アドラー心理学では、劣等感から
    他者との競争に陥ることを「競争の世界観」と呼びます。

新入社員は、研修の理解度、発表の上手さ、
OJTでの成果など、あらゆる面で同期間の比較に晒されます。

  • 嫉妬、比較、優越感、劣等感の刺激:
    この競争感覚が、本来の「仲間意識」を上回り、
    嫉妬、比較、優越感、劣等感を強烈に刺激します。

「あいつは要領が良い」「自分だけ理解が遅れている」
といった感情が、優越性を誇示するためのマウンティングや、
相手を蹴落とすような排他的な言動に繋がります。

  • 実際に企業で起きている“新入社員同士のハラスメント”
    具体的な事例分析(10ケース)

権力勾配がないからこそ、線引きが難しく、
企業側も対応に苦慮する具体的な事例を掘り下げます。

【類型A:指導と攻撃の境界線トラブル】

事例①:
指導のつもりがパワハラ扱いに
(同期間の指導型ハラスメント)

研修期間中、理解の早いAさんが同期のBさんに対し、
以下のような言葉をかけました。

A:「ここまでできてないとヤバいよ。
普通これくらい分かるでしょ。配属されたら通用しないよ」

Bさんは人事に「同期から責められた、否定された」と相談。
Aさんは「善意の指導だった」と驚きつつも反省しましたが、
本質は「指導」と「攻撃」の境界線のズレにあります。

特に「普通」「常識」「ヤバい」といった抽象的な断定表現は、
受け手には人格否定として伝わりやすいのです。

事例②:
質問攻めによる精神的疲弊
(プレッシャー型ハラスメント)

ある同期グループで、非常に熱心なCさんが、
業務時間外も同期のDさんに対し、チャットで延々と
質問を送り続けました。

C:「明日までにこれ準備しなきゃいけないんだけど、
この資料の○○ってどういう意味?すぐ返信してね」

Dさんは、業務時間外まで拘束されることに精神的な負担を感じ、
「同期なのにプライベートを侵害された」と訴えました。

これも、業務への熱意が、相手の境界線を侵害した結果です。

【類型B:デジタル・ソーシャル型ハラスメント】

事例③:
同期グループLINEでの“無意識の排除”
(ソーシャル・ハラスメント)

同期のLINEグループで、一部のメンバーが、意図せず
他のメンバーを除外した形で親睦を深め、
その様子を写真とともに投稿しました。

投稿:「昨日、研修お疲れさま会!次は全員集合ねー!」
(写っているのは全体の半数)

誘われなかったメンバーは「仲間外れにされた」
「裏で悪口を言われているのではないか」と感じ、
強い孤立感から人事に相談。

SNSは、たとえ悪意がなくても「見える排除」を生むリスクが
非常に高いメディアです。

事例④:
SNS上の「マウンティング投稿」
(デジタル・マウンティング)

OJT期間中、特定の同期Eさんが、業務の成功体験や、
上司に褒められたことをSNSで頻繁に投稿し、
他の同期を牽制しました。

Eさんの投稿:「今日も無事クリア!同期はまだ
苦戦してるみたいだけど、私はもう次のステップへ!」

これは、直接的な言葉ではないものの、閲覧した同期にとっては
「劣等感を刺激する攻撃」として機能し、関係悪化の原因となりました。

事例⑤:
既読・未読スルーを巡る摩擦
(コミュニケーション速度ハラスメント)

グループチャットで業務連絡をしたにも関わらず、
すぐに既読をつけない、または返信をしない同期に対して、
他の同期が苛立ちを募らせ、「連絡が遅い人は無責任」
といった批判的なチャットを送り、トラブルに発展しました。

【類型C:価値観の押し付けとプライベート侵害】

事例⑥:
過度なフランクコミュニケーションによるストレス
(距離感ハラスメント)

入社してすぐタメ口、ニックネーム呼び、
冗談を飛ばすタイプの新入社員Fさんが、

F:「同期だし、普通これでしょ?遠慮しなくていいよ」

と関係を近づけようとしたものの、
相手は「距離が近すぎる」「馴れ馴れしい」と感じ、
強いストレスに。

関係を縮めるスピードの違いが、一方が快適と感じ、
もう一方が侵害と感じるハラスメント構造を生みます。

事例⑦:
業務外の“生活スタイル批判”
(価値観ハラスメント)

ランチ中の会話で、同期Gさんが他の同期Hさんの食生活や
私生活に踏み込んだコメントをしました。

G:「毎日コンビニ弁当なんだ。一人暮らしで料理しないの?
女子としてどうなの?」

Z世代は、生活への干渉や個人的な価値観の批判に強い
防御反応を示す傾向があり、これが「価値観の押し付け」として
ハラスメント認定されるケースが増えています。

【類型D:競争と排他的言動】

事例⑧:
指名競争で生まれるマウンティング
(競争型ハラスメント)

配属先で「誰が先に成果を出すか」「最初に評価されるか」
という比較が強まり、

「まだそんなことやってるの?それ効率悪いよ、私のほうが早いし」
など、言葉の棘が生まれ、同期間トラブルに発展。

劣等感を抱いた側が、反動として他者を攻撃する典型です。

事例⑨:
意図的な情報遮断
(間接的業務妨害ハラスメント)

同期の一人が、自分の業務を有利に進めるため、
グループチャットで流れていた重要な情報を特定の同期にだけ
意図的に伝えないという排他的な行為を行ったケース。

これは業務効率を低下させるだけでなく、精神的な圧迫にも繋がります。

事例⑩:
ランチを共にしないことの暗黙の圧力
(暗黙の同調圧力ハラスメント)

同期全員が毎日一緒にランチに行くという
暗黙のルールがある中で、一人だけ「お弁当を持ってきたから」と
別行動を取ったところ、翌日からグループ内の会話から遠ざけられた、
という事例。

同調圧力は、集団の結束を促す一方で、従わない者への強力な
排他的攻撃となり得ます。

3.新入社員同士のトラブルが“ハラスメント化”する心理学

なぜ、同期という「仲間」であるべき存在に対して、
人は攻撃的になってしまうのでしょうか。

その背景には、人間の普遍的な心理作用が深く関わっています。

3-1. アドラー心理学:劣等感と「優越性の追求」

アドラーは、「人は劣等感を持つ生き物である」と述べています。
特に新入社員は、以下のような状況に置かれ、劣等感が強まります。

  • 新しい仕事で「できないこと」が多い。
  • 毎日、研修やOJTを通じて「評価」を受ける。
  • 他者(同期)と絶えず比較される。

この劣等感が強まると、人間はそれを補おうと
無意識に「優越性の追求」を始めます。

その結果、
上から目線で指摘する。
他者の失敗を嘲笑する。
自分の成功を過度に誇示する(マウンティング)。

といった攻撃的行動に繋がります。
これは、相手を打ち負かすことで、一時的に自分の優越性を
確認しようとする、歪んだ自己肯定の形です。

3-2. 社会心理学:「内集団バイアス」と「排他性」

同期は、会社という大きな集団の中の「内集団」です。

  • 内集団バイアス:人は、自分が属する集団(内集団)の
    メンバーに対しては好意的に接し、外部の人間よりも
    優れていると評価する傾向があります。
  • 排他性の発生:しかし、この内集団の中で、自分の立場や
    評価が危うくなると、集団内の弱いメンバーを
    排除することで、集団の結束力と自分の優越性を
    保とうとする心理が働きます。

SNSでの仲間外れや、業務情報の意図的な遮断は、
この排他性の現れです。

3-3. 認知の歪み:ネガティブ・バイアスと「悪意の拡大解釈」

新しい環境でのストレスや不安が高まると、
人はネガティブ・バイアス(否定的な情報に注意が向きやすい)が
働きやすくなります。

  • 悪意の拡大解釈:
    その結果、「相手の言動をネガティブに捉えやすくなる」
    という心理傾向が生まれます。

例えば、「急いでやらないといけないよ」という助言を
「責められた、能力を否定された」と認識するなど、
相手の意図を実際よりも悪く解釈し、
過剰に傷ついてしまうのです。

3-4. コミュニケーション耐性の差と「アサーションの欠如」

近年、「対面コミュニケーションよりオンラインに
慣れている世代」が増え、意見の対立や
議論を避ける傾向があります。

  • 意見表明技術の不足:
    そのため、指摘・意見・議論などの技術である
    アサーション(相手を尊重しつつ、自分の意見を
    率直に伝える技術)を十分に学ばずに社会に
    出てくることが多いです。
  • 結果としての攻撃:
    自分の意見を建設的に伝えられないため、
    感情が爆発し、相手を攻撃的な言葉で非難するか、
    あるいは逃避(無視や情報遮断)という形で
    トラブルが起こりやすくなります。

4.新入社員同士のハラスメントが企業にもたらす深刻な影響

この問題は、単なる個人間のトラブルでは終わりません。
企業経営に直結する深刻な影響をもたらします。

4-1. 配属前の「早期離職」の激増

新入社員の離職理由の最上位は常に「人間関係」です。
特に、キャリアを共に始めるはずの同期とのトラブルは、
会社全体に対する不信感を決定的にし、配属前の段階で
離職を決意するケースを急増させます。

これは、採用と研修にかかったコストの完全な損失を意味します。

4-2. メンタルヘルス不調とモチベーションの深刻な低下

「同期に嫌われたかもしれない」「仲間に入れてもらえない」
という孤立感は、自己効力感を急速に下げ、業務への意欲や
学習意欲に甚大な影響を与えます。

これが悪化すると、適応障害やうつ病など、メンタルヘルス不調に
発展し、休職・離職につながります。

4-3. 評価制度と組織文化に対する不信感

同期同士で競争意識や比較が強まり、トラブルが増えると、
社員は「会社が不公平な競争を煽っているのではないか」と感じ、
評価を公平なものとして受け入れられなくなります。

また、人事や上司に対する**“通報”が増加し、職場全体が
「変なことは言わないでおこう」という萎縮ムードに陥り、
心理的安全性が極度に低い、停滞した組織文化を生み出します。

5.新入社員同士のハラスメントを防ぐ企業側の
仕組み作りと10の具体的な対策

このハラスメントは「自然に起きやすいもの」と認識し、
企業側が意図的に環境をデザインすることが唯一の解決策です。

対策①:
最初に「同期間のハラスメントは起きやすい」
と明言する(予防教育の徹底)

トラブルの多くは「注意されると思っていなかった」
「悪気はなかった」が原因です。

研修の冒頭で、「同期は仲間であると同時に、トラブルが
最も起きやすい関係性である」という“リスク構造”を
明確に伝達します。

伝達例:
「同期との連絡における返信速度や、SNSへの投稿は、
上司とのそれ以上にセンシティブな問題を引き起こします。
配慮をお願いします。」

対策②:
コミュニケーション・リテラシー研修の必須化

ハラスメント教育を「やってはいけないこと」だけでなく、
「どうすれば建設的な対話ができるか」にシフトさせます。

  • 指導と攻撃の違いを学ぶ:
    感情的な言葉(「常識」「普通」「ありえない」)を使わず、
    事実と影響のみを伝える訓練。
  • アサーションとDESC法の習得:
    相手を尊重しつつ自己主張するDESC法(事実/感情/提案/結果)を
    ロールプレイングを通じて習得させます。

対策③:
SNSリテラシーとデジタル・エチケット教育

SNSはプライベートと業務の境界線が曖昧になるため、
明確なルールとエチケットを教えます。

  • グループラインのルール:返信期限、業務外の連絡禁止時間、
    プライベートな内容の投稿制限などを同期間で設定させる。
  • 写真投稿の配慮:「写っている全員の許可なく、研修や飲み会の
    写真をSNSに投稿しない」ことを明確なルールとする。

対策④:
心理的安全性を高める「構造化されたグループワーク」

同期同士を放っておくと関係が浅いまま終わるため、
研修の段階で意図的に信頼構築を図るワークを実施します。

  • 自己開示の機会:
    仕事とは関係ない「個人の価値観」「大切にしていること」
    「ストレスを感じること」などを安全な場で
    開示し合うワーク。

これにより、お互いを「人間」として深く理解し、
属性判断を防ぎます。

対策⑤:
先輩社員によるメンター制度の設計と運用

「同期同士では話しにくいこと」を話せる、利害関係のない
第三者(先輩社員)との接点を設けます。

  • メンターへの教育:メンターに対し、「同期間の
    競争感情や劣等感は否定せず、傾聴すること」
    「安易なアドバイスはせず、課題の分離を促すこと」を
    徹底的に教育します。

対策⑥:
「課題の分離」トレーニングの導入(アドラー心理学)

「相手の機嫌や反応は相手の課題であり、自分の課題ではない」
という考え方(課題の分離)を教えます。

これにより、同期から心ない言葉をかけられたり、
排除されたと感じた場合でも、過度に傷つくことを防ぎ、
感情的な連鎖を断ち切るトレーニングを行います。

対策⑦:
相談窓口の周知と「相談してもよい雰囲気」の醸成

特にZ世代は「相談してよいかどうか」で悩み、
深刻化させてしまう傾向があります。

  • 窓口の多様化:
    対面だけでなく、匿名で可能なチャットやメールでの
    相談窓口を設置し、心理的なハードルを下げます。
  • 積極的な声かけ:
    人事や上司が定期的に「同期との関係で困っていることは
    ないか?」とオープンに声かけを行い、相談を促す姿勢を見せます。

対策⑧:
ハラスメント通報後の「感情と事実」の切り分けプロセス

ハラスメントの訴えがあった際、企業側は「攻撃された」
という感情と、「いつ、どこで、誰が、何を言ったか」
という事実を冷静に切り分けるプロセスを迅速に実施します。

感情のケアと事実の確認を同時に進めることで、事態の深刻化を防ぎます。

対策⑨:
建設的な「批判とフィードバック」の文化の構築

批判・指導の際、同期間であっても「ゴットマンの批判4つの行動」
(批判、侮辱、防衛的、逃避)を避ける指導を行います。

  • 「Iメッセージ」の活用:
    「あなたは間違っている(Youメッセージ)」ではなく、
    「私はこう感じる(Iメッセージ)」で伝える訓練を奨励します。

対策⑩:即時的な謝罪と「関係修復」の重要性の指導

「気づかなかったけど、結果的に傷つけた」という
場面は必ずあります。

その際の即時的、かつ誠実な謝罪が、関係修復の鍵となります。
「悪気はなかった」という言い訳ではなく、
「結果的に傷つけてしまい、申し訳ない」という影響への
謝罪の仕方を指導します。

結論:
同期は“仲間”でもあり、“価値観の違う他人”でもある

新入社員同士で起きるハラスメントは、決して特殊な例外ではなく、
現代の職場構造と世代的価値観が複合的に絡み合う中で
“自然に起きやすいもの”です。

  • SNS文化
  • Z世代の強い境界線意識
  • コミュニケーション耐性の差
  • 評価による比較
  • 対面機会の不足

これらが複雑に絡み合い、同期間のトラブルが、
深刻なハラスメントへと発展しています。

だからこそ企業は、「同期は仲良くなるべき存在」という
幻想に縛られるのではなく、「同期は仲間でもあるが、
育ちも価値観も背景も違う、リスペクトすべき他人である」
という前提に立ち返ることが重要です。

関係性を強制するのではなく、「安心して働ける距離感を
互いに作る」ための教育、明確なルール作り、
そして対話の場を用意すること。

これが、今のZ世代、そして将来の世代に合った、
最も効果的なハラスメント防止策であると確信しています。

新入社員の育成と定着は、企業の未来そのものです。
今すぐ、この新たなハラスメントリスクへの対策に着手しましょう。

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